うちの店で売っている毛糸の話になります。
こんな三角ショールのパターン付きで販売されていました。(もうちょっと模様が入ってひねった編み図ですよ)
たまに買った人がSNSで作品がアップしているのを見て「うーん、三角じゃない…ひし形ってか凧みたいな形というか…」と…思い出しました。
前に編んだ嶋田センセイの本のシェットランドレースのショールの中央が微妙にとがっていたなぁと。でもふち編みがあったりしてかわいいから気にならなかったんだけれども。

画像の位だと許容範囲ですけれど、SNSで見るお客さんの作品は、もはやこれは三角ショールじゃないじゃん、と思いました。SNSの投稿でも「うーん、三角にならないぞ‥凧みたいな・・・」とコメントもありましたし。
一般的な編み図だと…
で、なんでとがってしまうかってことですが。
一般的な三角ショールの編み図はこんな感じと思います。奇数段で両端と真ん中二か所で4目増し目、偶数段はそのままです。

しかしこれだと三角形にならないという問題があります
メリヤスという編地の問題
三角形にならないのは、編地の問題です。
メリヤス編みの場合は一目は縦横比が0.7対1くらいの比率で若干横長のマスになります。二段で一度増やすので二段と一目で一コマになりますが、そのコマが1.4対1という縦長になるので中央がとがってしまうのです。
メリヤスの縦横比の特性上、これは仕方がないです。
同じ編み図でもガーター編みなら大丈夫
しかし同じ増やし方の編み図でもガーター編みだとまっすぐになるんですよね。

青が中心です。特に無理していませんが編んだ時からまっすぐ。
これはガーター編みが横に広がる特性の編地だからですね。ゲージから見ると縦横比が0.5対1くらいなので二段のマスで考えたら見事に正方形のマスになります。なのでガーター編みなら三角ショールになります。
ブロッキングしてもどうにもならない
そんなことを考えていた昨シーズン、上司からその毛糸でそのパターンで見本品を編むように言われました。
このパターンのままだと三角にはならない。凧みたいな形になってしまう。果たしてそれでいいのだろうかと上司に聞いたところ「編み図通りで」と言われました。
その時はブロッキングすればもうちょっとどうにかできるんじゃないかと淡い期待を持っていたので素直に編みました。
しかし、ブロッキングしても全く伸びませんでした(+_+)どうにもならないです。
そしてまた秋になり、あの編み図がやってきた。だから三角にならないっつうの。なんでこの三角ショールにこだわるのだろう。
後日談・きっかけの作品を発見する
後日談です。
うちの会社がこだわる三角ショールのきっかけ作品を発見しました。
ニットデザイナーさんにうちの糸を使ってデザインを…と依頼して掲載された作品の中にこのパターンの三角ショールを発見しました。
しかしやはりガーター編みで編まれていました(笑)やっぱりそうだよね。ガーターじゃなきゃ三角にならないんだってば(笑)
おそらくそれを見て、いーじゃんこれ、ってことになってメリヤスにしちゃったんでしょうねぇ。
nuvemで検証
nuvemを編んでいてまさにこれ!というのがコレです。

2段で4目の増し目がこのオレンジの線。やっぱりとがってしまうのよー。
一方、2段で6目増し目しているのが水色の線。まっすぐにはなりませんけど、このくらいの角度がある方がショールとしては巻きやすいですよね。ヘルガ・イサガーさんのショールも二段で6目の増し目でこんな感じです。
そういえばこの秋の素敵にハンドメイドでやっていた、ベルンド・ケストラーさんの三角ショールはもっと角度が深い三角ショールでした。あれも巻きやすそうですし、三角にこだわらず巻きやすさを考えてクロワッサン型がいいと思う私なのでした。
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